自己犠牲の精神が人を傷つける時

心の話
元氣楽塾の廣瀬 英樹です。

当塾のカウンセリング時はもちろん、ブログ記事でも安易な自己犠牲の弊害について幾度か書いてきました。それでもやはり、自分が我慢して丸く収まるならと、自分をないがしろにする癖は抜けにくいようです。

今回の記事では、そんな人でも自己犠牲について氣をつけたくなるような事を書いてみます。

自己犠牲とは

自分自身の時間・労力・生命などを他のもののために費やすことです。

自分をないがしろにして、他者に尽くしすぎてしまう、自分を押し殺したり、我慢して他人の利益になるような事をしてしまう状態を指します。

自己犠牲が当たり前になってしまうと、自分が嫌な目にあっているという感覚さえも麻痺してきます。逆に自分が幸せでいる事に罪悪感を覚える場合もあります。

その事によって喜び等の何か精神的な見返りがある場合は、慈悲とか思いやりの氣持ちによるものなので、自己犠牲とは違うものと思われます。

自己犠牲が他人を傷つける時

とある祖母が好きな2人の孫のたとえ

祖母に楽になってほしくて仕送りをした孫A

おばあちゃん子の人がいたとします。仮にAさんとします。

Aさんの祖母は1人暮らしです。年金生活では少し生活が苦しいようで、必要な家電が壊れたままだったり、冷暖房を節約するので体調が心配な状態でした。ですが家が遠方の為、様子もそんなに見にいけません。

なのでAさんは大好きな祖母が少しでも不自由がないように、月にいくらか無理のない範囲での仕送りを申し出ました。祖母も喜んで受け取ってくれました。

無理のない範囲でと言っても、やはり何かを我慢したり、節約の手間が増えたりはします。それでも大好きな祖母が楽になってくれるんだという喜びの方が上です。

ですが祖母はその仕送りを、他の孫の為に使っていました。何かを買ってあげたりお小遣いとして渡したりなどです。なので、Aさんが望んでいた、祖母の不自由がなくなるという望みは叶えられませんでした。

Aさんがこの事を知った時に、どれほどショックを受けるか想像できるでしょうか? 仕送りの期間が長いほどに悲しみも大きくなります。

Aさんからすれば、別の孫の為に節約したわけではありません。騙されたと思いますし、それなら申し出を断ってくれれば良かったとも思います。

祖母が好きで家に遊びに行っていた孫B

祖母が大好きなBさんは、家が近かった事もあり、よく祖母の家に遊びに行っていました。遊びに行くと、喜んでくれるのでそれが嬉しくもありました。

遊びに行くと、美味しいお菓子を用意してくれたり、何氣に興味があったものを買ってくれている事もありました。

ですがそれが、別の孫Aさんが仕送りをしてくれていたお金から買ってくれていたと知りました。

その事に氣が付かなかった自分を責めてしまいます。自分があんなに遊びに行かなければ良かったのかもと、祖母への好意さえ否定したい氣分になりました。

祖母が大切にするものは?

祖母を金づるとしか思わない孫Cがいたとします。

Cさんは喜んでお小遣いを受け取ります。そのお金の出所や祖母の生活は氣にとめないでしょう。Cさんが強請ればどんどん祖母はお金を出します。Cさんは遠慮なく強請り続けます。

このように、自己犠牲の精神を持つ人は結果として自分をないがしろにする人の為に動きます。

何故このような事になったのか

祖母が、自分を大切にしなかったからです。

仕送りを断れば孫Aが傷つくかなと受け取ったり、自分の生活よりも孫Bのおやつを優先したりした結果、両方共を傷つけてしまいました。

自分を犠牲にする場合、自分に思いやりを持ってくれた人をも犠牲にします。

自己犠牲の精神が強ければ強いほど、自分の事のように思いやってくれる氣持ちをないがしろにします。

逆に、自分をないがしろにする人を大切にします。

自己犠牲によって人を傷つけた時に許される唯一の方法

その事をきっかけに、自分を大切にするようになる事だけが、許される方法です。

誰に許されるのかと言えば、傷つけた相手は勿論ですが、一番は自分自身にです。

自分をないがしろにした結果、自分を思いやってくれる人を傷つけていたと知りました。それで傷ついたのは、結局自分自身です。

自分はなんて事をしてしまったんだと後悔しかないような氣持ちにさえなります。自己犠牲の氣持ちを持ちやすい人は、元々優しい心の持ち主なので、より辛いと思います。

上の祖母の話なら、お小遣いを強請る孫Cの最速を断り、自分の生活を大切にしていくという方法があります。祖母の生活が苦しかったのは、年金が少ないからでなく孫Cにお小遣いを上げすぎた事が原因だったと判明するかもしれません。

そうやって祖母の生活が改善すれば、ショックを受けていた祖母大好きな孫A・Bも喜んでくれます。あの時は辛かったけれど、あれがキッカケで良くなったのだから必要な事だったとさえ思ってくれます。

自己犠牲の氣持ちが強い人は、どうすれば自分を大切に出来るのか分かりにくいものです。

最初は、自分を思いやってくれる人の氣持ちを判断基準の1つにするのも有効な方法です。

まとめ

通常は、自己犠牲により思いやってくれた人を傷つけたとは氣が付きません。氣が付く前に相手が離れてしまうからです。

なのでその氣付きに感謝をして、ご自身を大切にしていってください。

 

 

そして、自己犠牲なしで思いやりを持ち合える人間関係を築いていってください。

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