親のサポートは、子どもの心の成長、ひいては人生全体の土台を築く上で、本当にかけがえのないものです。まるで、植物が太陽の光と栄養たっぷりの土壌によって大きく育つように、子どももの温かいサポートによって、自信を持って未来に向かって羽ばたいていくことができるのです。
では、具体的にどのようなサポートができるのか、段階的に見ていきましょう。
親が上手に子供をサポートするために:ドリームサポーターになろう
子どもが持てる力を最大限に発揮し、健やかに成長するための親のことを「ドリームサポーター」と呼んでいます。この言葉は、僕がメンタルトレーナーとして就いている、兵庫工業空手道部の保護者会の名称です。「子どもの夢をサポートする」、「各家庭で無理なく出来ることで子どもたちやチームに協力する」といった概念で運営されています。公立高校でありながら、県大会ベスト4、全国大会出場常連の部活動です。親同士がとても理想的な関係性の中で活動されています。僕自身もこの「ドリームサポーター」のみなさんからたくさんの事を学ばせていただいています。
あなたも「ドリームサポーター」になったつもりで、この記事を読み進めてみてください。きっと得るものがあるはずです。
1.安心できる土台を築く:情緒的なサポート
何よりもまず大切なのは、子どもが「自分は自分のままで大丈夫だ」と感じられる、安心できる家庭環境を築くことです。これは、子どもの心の根っこを育てるようなものです。
- 無条件の愛情を伝える: 成績や行動に関わらず、「あなたがいてくれるだけで嬉しい」「あなたのことが大好きだよ」という氣持ちを、常に言葉や態度で伝えましょう。抱きしめたり、優しい言葉をかけたり、一緒に笑い合ったりする小さな積み重ねが、子どもの心の安定につながります。
- 話をじっくりと聴く: 子どもの話に耳を傾けるときは、手を止めて、目を見て、共感する姿勢を示しましょう。「それでどう思ったの?」「大変だったね」といった言葉かけは、子どもが自分の気持ちを安心して表現できるきっかけになります。
- 感情を受け止める: 喜び、悲しみ、怒り、不安など、子どものどんな感情も否定せずに受け止めましょう。「そんなことで泣かないの!」ではなく、「悲しかったんだね」「悔しかったね」と寄り添うことで、子どもは自分の感情を理解し、コントロールすることを学んでいきます。
- 失敗を恐れない雰囲気を作る: 失敗は学びのチャンスです。「失敗しても大丈夫だよ」「次はどうすればいいか一緒に考えよう」という声かけは、子どものチャレンジ精神を育み、困難に立ち向かう力を養います。
- 一貫性のある対応: 約束やルールは一貫して守り、子供に安心感を与えましょう。親がルールを守る事によって、子どもも約束やルールを軽く見なくなり、メリハリのある生活が身につきます。
メンタルトレーナー的視点: 心理的な安定は、子供が困難に立ち向かうための土台となります。安心できる環境があるからこそ、子供は失敗を恐れずに新しいことに挑戦し、自己肯定感を育むことができます。
2. 自律性を育む:自分で考える力を伸ばす
子どもが自分の足で立ち、未来を切り拓いていくためには、自律性を育むことが不可欠です。親は、子どもの主体的な成長を後ろからそっと支えるようなイメージで関わりましょう。
- 自分で考える機会を与える: 何でもかんでも親が決めてしまうのではなく、「どうしたい?」「どうすればできると思う?」と問いかけ、お子さん自身に考えさせ、決断させる機会を与えましょう。小さなことでも自分で決める経験を積み重ねることで、自己決定力が高まります。
- 責任感を持たせる: 役割を与えたり、自分で決めたことは最後までやり遂げさせることで、責任感を育みましょう。たとえ失敗しても、その経験から学ぶことが大切だと伝えます。
- 挑戦を応援する: 子どもが新しいことに興味を持ったり、目標に挑戦しようとしたりするときは、「頑張って!」「応援しているよ!」と励まし、背中を押してあげましょう。結果だけでなく、挑戦する過程を褒めることも大切です。
- 適切な距離感を保つ: 過保護や過干渉は、子どもの自律性を妨げてしまいます。子どもの年齢や発達段階に合わせて、できることは本人に任せ、親は必要な時にサポートする、という適切な距離感を保つように心がけましょう
- 子供のペースを尊重する: 成熟のスピードは一人ひとり異なります。焦らず、子供のペースに合わせて見守りましょう。
メンタルトレーナー的視点: 目標設定、計画、実行、振り返りのプロセスを子供自身が行う経験は、主体性を育み、自己効力感を高めます。
3. 挑戦を支える:成長の機会を提供する
子どもの知的好奇心や探求心を刺激し、様々な経験を通して成長を促すことも、親の大切な役割です。面倒臭い、忙しい、よくわからないなど親の都合で子どもの質問を却下していまうと、子どもからの信頼を著しく下げる事につながります。忙しい時は「あとでちゃんと聞くからちょっと待って」、わからない時は、「お母さん(お父さん)もわからないから、あとで(今から)一緒に調べようか」と言った具合に対応し、子どもの問題可決の意志と意欲を満たすことが大切です。
- 興味関心を尊重する: 子どもがどんなことに興味を持っているのかを注意深く観察し、その興味関心を深めるための機会を促しましょう。動画を見たり、関連するイベントに連れて行ったり、一緒に調べ物をしたりするのも良いでしょう。ここでは親がさせるのではなく、子どもに「やりたいと思わせる」ことが大事です。
- 多様な経験の機会を作る: 旅行、読書、音楽、スポーツ、芸術など、様々な分野に触れる機会を作ることは、子どもの視野を広げ、豊かな心を育む上で重要です。
- 学ぶ楽しさを伝える: 親自身が学ぶ姿勢を見せたり、知的好奇心を持って様々なことに取り組む姿を見せることは、子どもにとって最高の刺激になります。「へえ、そうなんだ!面白いね!」といった言葉かけは、学ぶことへの興味を引き出します。
- 質問を大切にする: 子どもの素朴な疑問や質問に真摯に答えることは、思考力を養う上で非常に大切です。「どうして?」「なぜ?」という問いかけを大切にし、一緒に考える姿勢を示しましょう。
- 小さな成功体験を積み重ねる: 最初は簡単な目標から始め、達成感を味わえるようにサポートしましょう。
- 努力を認める: 結果だけでなく、努力の過程を褒めることで、子どもの頑張りを認め、モチベーションを維持しましょう。
- 励ましと応援: 困難に直面した時には、「きっとできるよ」「応援しているよ」と励まし、支えとなる存在であることを伝えましょう。
メンタルトレーナー的視点: 目標達成の喜びや、困難を乗り越えた達成感を味わうことは、モチベーションを高め、さらなる成長への意欲を生み出します。
4. 自己肯定感を育む:自信と意欲を高めるサポート
自己肯定感は、子どもが困難を乗り越え、自分らしく生きていくための土台となるものです。親の温かい言葉と励ましは、お子さんの自己肯定感を大きく育みます。
- 良いところを見つけて褒める: 結果だけでなく、努力した過程や、ほんの小さな成長も見逃さずに褒めてあげましょう。「頑張ったね!」「前よりずっと上手になったね!」といった具体的な言葉で伝えることが大切です。
- 長所を伸ばす: 子どもの得意なことや才能を見つけ、それを伸ばすための機会を提供しましょう。成功体験を積み重ねることで、自信につながります。
- 他人と比較しない: 子ども一人ひとりの個性やペースを尊重し、兄弟姉妹や他の子と比べるようなことは絶対に避けましょう。「あなたは素晴らしい」というメッセージを伝え続けることが大切です。
- 感謝の気持ちを伝える: 日常の中で、「ありがとう」という感謝の気持ちを伝え合うことは、お互いの存在価値を認め合い、自己肯定感を高めることにつながります。
- 弱さを受け入れる: 完璧であることを求めず、弱さや失敗も成長の過程として受け止めましょう。
メンタルトレーナー的視点: 自分の価値を認め、自信を持つことは、パフォーマンス向上だけでなく、幸福感にも繋がります。
5. 親自身が模範となる:成長し続ける姿勢を見せる
子どもは、いつも親を見ています。子供が一番影響されるのは、親の姿、立ち振る舞いです。自分自身が子どもの頃に親を見てどう思ったのかを今一度思い出してみて下さい。
ここでの模範は、完璧でない方がいいです。親も失敗し、失敗から学ぶ姿を子供に見せることが大切です。
- 学び続ける姿勢: 親自身が新しいことに挑戦したり、学び続ける姿勢を見せましょう。
- 感情をコントロールする: 親が感情的に不安定だと、子供も不安になります。落ち着いて対応する姿を見せましょう。
- 困難に立ち向かう姿勢: 親が困難にどのように向き合い、乗り越えていくかを子供に見せることは、子どもの困難を乗り越える力を高めます。
- 感謝の気持ちを伝える: 周りの人や子供に対して感謝の気持ちを言葉で伝えましょう。
メンタルトレーナー的視点: 親自身が目標を持ち、努力する姿を見せることは、子供のモチベーションを高める上で強力なメッセージとなります。
6. 適切な距離感を保つ:見守る勇気を持つ
子供のことを思えば思う程、心配になるのが親というもの。その心配がいつの間にか子供の自由を奪う事につながってしまいます。「子供のために」と思う先回りの行動はいつしかあなたを「毒親」にしてしまいます。文字通り、「木の上に立って見守る」そんな親になりましょう。
- 手出ししすぎない: 子どもが困っている時でも、すぐに助けるのではなく、まずは自分で解決する方法を考えさせましょう。
- 口出ししすぎない: 子どもの行動や考えを頭ごなしに否定するのではなく、受け止める姿勢を示しましょう。
- 信頼して任せる: ある程度の年齢になったら、子どもを信頼して任せることも大切です。
- 見守る中で必要な時にサポートする: 普段は見守りつつ、本当に困っている時には適切なサポートを提供しましょう。
メンタルトレーナー的視点: 子供が自分で考え、行動する機会を奪わないように、適切な距離感を保ち、見守ることも大切です。
7. 専門家の力を借りる:必要に応じてサポートを求める
子育ては、わからない事だらけです。どうしていいかわからない時、何が正解かわからない時、自分がやっている事が正しいのか間違っているのか不安だったり、近くに話ができる人、話を聞いてくれる人がいないなど、ひとりではどうする事もできない、解決できそうもないと思う時は誰にでもあります。そんな時は迷わず専門家にサポートを求めましょう。ですが、相談する相手を違うと大変な事になりますので、誰に相談するかは、しっかりと自分で調査しましょう。友人の「良かったよ」を鵜呑みにせず、自分がその人と話した感覚で善し悪しを決めましょう。
- 相談窓口を知っておく: 地域の子育て支援センターや児童相談所などの情報を集めておきましょう。
- 学校の先生との連携: 学校の先生と連携して情報交換を行い、子どもの様子を共有しましょう。
- 専門家への相談を検討する: 子どもの行動や感情の状態に心配な点がある場合は、早めに専門家に相談しましょう。
- 親自身のケアも大切にする: 親自身が心身ともに健康であることが、子供への良いサポートに繋がります。
メンタルトレーナー的視点: 専門家は、客観的な視点からアドバイスを提供し、より効果的なサポート方法を見つける手助けをしてくれます。
まとめ
親が上手に子供をサポートするためには、愛情と信頼を土台とし、子供の自律性、挑戦心、自己肯定感を育むことが重要です。親自身が成長し続ける姿勢を示し、適切な距離感を保ちながら、必要に応じて専門家の力を借りることも大切です。
焦らず、お子様の成長を温かく見守り、それぞれの個性と可能性を信じてサポートしていくことが、お子様の健やかな成長への何よりの力となるでしょう。
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