第15回 糸東流空手道アジアチャンピオンシップ2018

日記
元氣楽塾の廣瀬 英樹です。

先月、息子の空手の大会でインドネシアのジャカルタに5日間行ってきました。

私は、競技のスポーツ空手と、道を極めようとする空手道では、身に付けるものが別物であると感じています。

試合では、対戦相手との駆け引き、自分自身の精神・タイムマネジメント、審判の癖の見極め、自己分析などのスキルを身に付けていく必要があります。

そして、普段の練習や稽古で、肉体的鍛錬、精神的鍛錬に加え、礼儀や、師弟関係、上下関係と言った人間関係を身に付けていかなければいけません。

そして、どちらが欠けても選手としては半人前になってしまいます。

今回は、アジア大会-in-ジャカルタ-インドネシアの様子を日記のような感じで書いていきます。

アジア大会出場が決まるまで

この大会は、空手の一つの流派である糸東流のアジア大会でした。

私には、4人の息子がいます。今回この大会に出場したのは、15歳の次男です。

本来ならば、国際大会なので強化選手が出場します。ですが、今大会では選考でも参加出来るかもしれないと言う連絡があり、選考書類を提出する事にしました。

昨年までは次男も強化選手でしたし、今年の全国大会では3位にもなっているので、選ばれる可能性は高いだろうとと期待をして合否の連絡を待っていました。

選考書類を提出してから2週間が経ったころ、出場資格が与えられたとの連絡と同時に必要な費用の明細が送られてきました。

次男は15歳なのでジュニアのカテゴリーでまとめらます。さらにジュニアの中でも年齢と階級に分けられ、今回エントリーしたのは、-57級。

空手をしている息子達の中で、次男が一番真剣に取り組んでいます。中学生活では、満足のいく結果を出せずに苦しんでいたので、次男本人もこの大会への意氣込みには強いものを感じていました。

そこまで激しい減量をする事はありませんでしたが、夜に走りに行くなどしながら、自分で体重の調整をしていました。

アジア大会-in-ジャカルタ-インドネシア

1日目

私自身、インドネシアに行くのは初めてで、普通の旅行ではなく、試合に出場する息子に同行すると言う全てがイレギュラーな体験でした。

ジャカルタに到着したのは、現地時間の16時ごろでした。

飛行機から降りた途端にム〜ンと生暖かい空氣で、「あ〜外国に来たぁ〜」という氣持ちになり、空港の中に入り入国審査の順番待ちの時には、程よい緊張感がありました。

空港の外に出ると、インドネシアのタバコで有名なガラムのにおいが充満していました。

周りを見渡すと、子供の頃の昭和の時代を彷彿させる風景が広がっています。くわえタバコをして歩きながら、ベンチに座って喋りながら、至る所でタバコを吸う人が目に留まりました。

 

この日は、移動の疲れを残さない条件の下での自由行動でした。

ホテルに到着した後、少し部屋で休憩をして、タクシーで15分くらいの所にある、ショッピングセンターに行って来ました。

全てが慣れない状態でバタバタしていましtが、とりあえずインドネシアもしくは、東南アジア系のレストランに入る事に。

閉店の時間が近かったため、売り切れの物も多く、本来食べたかったメニューは残っていませんでした。そんな中、写真を見ながら「コレは?」「じゃあコレとコレで」みたいな感じで、自分達のグループには日本語で、注文は片言の英語を駆使してなんとか注文を済ませました。

東南アジア系独特のスパイスが効いたプレートです。
中には辛すぎて食べれない物もあり、申し訳ないですが完食はできませんでした。

2日目

朝から選手の皆さんは、ホテルのロビーに集合して結団式を行っておられました。

その後、試合会場と練習会場の視察に。

会場とホテルが直結していたので、ロビーから歩いて1分の所が試合会場で、試合会場から歩いて30秒の所が練習会場という、選手達にとって便利な立地です。

結団式の様子

準備作業中の試合会場の様子

 

会場の視察を終えて、少し時間を挟んで、いよいよ練習開始。
本来の目的である試合の準備です。
練習会場には、日本選手達が番乗りで、他国の選手達の姿はありませんでした。

練習が始まって間もなく、続々と他国の選手達が練習会場にやって来ました。ですが、中々練習を始めようとしません。

そんな中、日本選手はガンガンに練習を続け、威圧感を感じるほどでした。
その様子を、他国の選手や関係者の人達が食い入る様に見入っていて、その構図がとても印象的でした。

練習の後に次男に、観られる事について聞いて見ると、「氣持ちいい」という答えが返ってきました。

「緊張する」とか「やりにくい」と返事だったら、もっと集中する様に言おうと思っていましたが、そんな心配はいらなかったようです。

返事からも空氣からも、次男の心身共に調子の良い様子がはっきり感じ取れました。

この時、不思議と今回は優勝するかもしれない、優勝しそうだと、そう思いました。

この日の練習は、午前9時〜11時までの2時間と午後2時〜4時までの2時間。

午前の部は全員参加でした。午後の部は個人で、それぞれの状態に合わせた練習になり、次男は調整をしたいと言って、ジュニアの選手達と練習会場へ。

この日の夕食も、昨日行ったショッピングセンターで取る事になりました。

時間にも氣持ちにも余裕があったので、ゆっくりとエリア内を散策しました。

センター内は、フードコートやレストラン街、雑貨のお店、イスラム系の服屋さん、家電屋さん、カフェ、スィーツのお店、薬局、コスメのお店、あとは、ファッション系のお店などがあり、日本で言う所のイオンモールみたいな感じでした。

今回の晩ご飯は「丸亀製麺」です。

次男はざるうどん、私は、日本には無いメニューをと思い「明太マヨソース鳥かつうどん」を注文。
サイドメニューからは、野菜のかき揚げとちくわの天ぷらを。メニューは日本語がローマ字表記されていて、注文もスムーズにする事が出来ました。

麺は日本と同じでしっかりとしたコシがありました。明太マヨソースもインドネシア風で辛いのかと思いきや、日本風にまろやかに仕上げてあり、思いのほか美味しくいただきました。

天ぷらは、天つゆは用意されていなくて、代わりに各テーブルに置いてある他の調味料と一緒に「天ぷらソース」と日本語で書いてあるソースが置かれていました。

そのソースは、関西で言う所の「とんかつソース」、関東で言う所の「中濃ソース」の味でした。天ぷら自体もほとんど日本と変わらずコレも美味しいくいただきました。

昨日の帰り際に見つけていたケンタッキーを、ホテルでお腹が減ったとき用に子供達が買った後、ホテルに帰りました。

3日目

この日は次男の試合です。

軽量も一発OKで、体調も問題無し。
精神状態も安定して申し分なし。

体調管理は成功したと言っていいでしょう。

氣がかりだったのは、試合が始まる時間が読めない事です。
早い段階から集中し過ぎて、肝心な試合が始まる時に集中が切れてしまわないかが心配でした。

予定では3時に試合開始でしたが、前のカテゴリーの試合が押しに押している状態で、次男は6時ごろになると予想していた様です。

 

コーチと次の試合の打ち合わせをしている次男は、氣持ちの入ったいい顔をしていました。

そんな様子をうかがいながら、試合が見やすいところに移動し、カメラもスタンバイOKです。

久しぶりに写真を撮るので上手く撮れないかもしれないけど、頑張って撮ってやろうと意氣込んで試合開始を待ちます。(何故写真撮影にここまで氣合が入っているかは、3日目番外編を読んでください)

いよいよ試合開始。

試合開始の直前に何か意見を求めて私の所に寄ってきたので、

「自分のペースで試合をする事」
「リードされたらすぐにポイントを取り返す事」
「相手のペースになりそうになったら、強引にでも自分のペースに持ってくる事」
「中途半端な攻撃はしない事」
「最後に自分を信じる事」

と、技術的な事よりも、精神的なアドバイスをして送り出しました。

そして間もなく、選手紹介のアナウンスが会場に響き渡ります。

コートに入って行く次男の姿から、落ち着きながらも、臆する事なく自信に満ち溢れた氣を感じました。

 

対戦相手は台湾の選手です。

試合中は、同じジュニアの選手たちやシニアの先輩たちが応援、アドバイスをしっかりとしてくれているので出る幕はありません。

ここでの私の仕事は、次男が納得のいく写真を撮る事です 。
躍動感のある写真を撮ろうと頑張りましたが、パッと見ピンボケのように映っているものもあります。常に動いている人を撮るのは至難の業でした。

写真を撮るのに必死で、試合の流れを落ち着いてみる事はできず、ポイントが入ったのか入っていないのかもわからない時もありましたが、ただリードしている事だけはわかりました。

応援のみんなの声が徐々に大きくなり、最高潮に達したその時が試合終了でした。

対戦結果は、

6対3

見事に勝利をおさめ優勝を決めてくれました。

中学生になってからは、いい結果を出せる機会がほとんどなく、苦しい時期を過ごしてきました。

次男本人もこの大会に込める想いは、強く大きかったはずです。

結果を求めて、その結果を出せた事は、次男本人にとって大きな意味を持ちますし、大きな自信につながったはずです。

1試合しか見れませんでしたが、最高の瞬間を見ることができました。

 

3日目番外編

デジカメのバッテリーを持ってきていなかったと氣がついたのが、2日目の夜でした。
3日目の朝からバッテリーを探しに、一人でショッピングセンターへタクシーを飛ばして向かい、到着したのが、開店30分前でした。

やきもきしながらオープンの時を待ち、やっとオープンの午前10:00に。

何しろだだっ広いショッピングセンターですので、家電量販店を見つけるのにも時間がかかりました。やっと見つけたと思ったら、「バッテリーはメーカーのサービスセンターじゃないと販売していない」と店員さんに教えられました。

店員さんがサービスセンターの住所を教えてくれましたが、その後にスマホで調べてみると結構な距離が離れていて、これは無理だと諦めてホテルへ帰ったのが11:00ごろでした。

いつもはあまり頼み事をしない次男に、「今回はデジカメで試合の写真を撮って欲しい」と、お願いされた事で、スマホのカメラではなくて、ちゃんとしたデジカメで撮ってやりたいという氣持ちが抑えられなくなりました。

どうしても諦め切れなくて、次男と練習会場で別れた後、部屋に帰ってもう一度サービスセンターの場所を確認してみました。

そうすると、グーグルマップで見ると、車で35分。
「コレは行かなければ!」と思い、また急いでタクシーに乗り込み、サービスセンターが入っているショッピングセンターへ向かう事に。

グーグルマップでは、35分と載っていましたが、それ以上に遠かったのか、渋滞のせいなのか、かかった時間は、おそらく50分から1時間くらい。
今回来たショッピングセンターも馬鹿デカくて、サービスセンターらしき所が一向に見つかりません。

このショッピングセンターは、色々な専門店が数多く入っている所で、携帯電話の専門店や、パソコンの部品専門店、その中にカメラの部品専門店も何軒かありました。サービスセンターはもう探し切れないと思いましたが、部品屋さんにある可能性を考えました。そして、数件の部品屋さんに聞いてみた所、答えは「ノー!」

今度はダメ元で、大きなカメラ専門店で聞いて見ると、なんと展示してあるカメラの中からバッテリーを抜き取ってくれました。

やっとバッテリーが手に入ると思いきや、値段が。

提示されたのが、
1milion 30thousand rupiahs
ワンミリオン?
桁が違い過ぎてわからない!
電卓で見せてとお願いすると、1,300,000の表示。
ゼロを3つ消して7をかけると日本円に相当するので、1300×7で9100円くらいです。

ちょっと高いけど、もうここでしか買えないと思ったので、財布を開けてお金を用意しようとしたら、「足りない!」「1,000,000ルピアしかない!」

コレしかないと店員さんに見せると、「上の階にATMがあるから、そこでお金引き出して来て」みたいな事を言われ、探しに行く事2回。

結局ATMを見つける事が出来なかったので、泣きつく様に「カードが使えない」と嘘をつくと、その店のオーナーらしき人と相談してくれ1,000,000ルピアにしてもらいました。

ようやくバッテリーをゲット!
急いで試合会場に引き返さなければ!

急いでタクシーを拾ったのはいいものの、渋滞があちこちで起こり、中々進みません。
時間だけが過ぎていきます。

次男の試合開始予想時間が6時。
タクシーの中で時間を見ると5時30分。

「やばい〜」と思いながらもどうすることもできません。

すると、日本からラインが入り
「次男の試合が始まったらしいよ」
「何してんの?」
「早く来てってチームメイトが心配してるで!」
とのメッセージが。

時計を見ると、5時45分に。

「おぉ〜!マジかぁ〜!」
「もうそこまで帰って来てるのに、車が進まへん!」

と思ったんですが、なぜか「決勝戦までに帰れば大丈夫!」と次男が決勝まで勝ち上がるとわかっている様な氣がしていました。

やっとの思いで試合会場に到着。

この時、すでに6時15分。タクシーから降りてダッシュで観覧席まで向かいました。「なんとか間に合ってくれぇ〜!」と願いながら観覧席に到着しました。

到着した途端、周りのみなさんから「どこ行っとったん!?」「もう試合始まってんで!」

そりゃそうですよね。わざわざインドネシアにまで来てるのに、自分の息子の試合を見ないで帰るなんてありえないですからね。

「次、決勝やで!」とチームメイトに教えてもらった時に、「やっぱり大丈夫やった!間に合った!」「早くカメラの用意をしないと!」とさっさと氣持ちを切り替えました。

4日目

この日は、シニア選手のみなさんの試合でした。次男が目指す所です。スピード、パワー、テクニック、ハート、見習う所はたくさんあります。

今大会に出場した、ジュニア、シニアの個人19人と、男女団体2組の成績最終結果は、

金メダル 16

銀メダル 3

銅メダル 2

エントリーした種目、全ての選手がメダルを獲得すると言う素晴らしい成績で今大会を締めくくりました。

 

5日目

この日は、自由行動です。

ジャカルタのツアーに行くグループと、個々で別行動をとるグループに分かれました。

私達は、ツアーには参加せずに、これまでに行っていない、ジャカルタの中心部にあるショッピングセンターに行ってみる事にしました。

ホテルを出て、タクシーに乗る事45分、目的地であるショッピングセンターに到着です。

これまでに行った所よりも、綺麗で洗練された感じがあり、高級感が漂う、日本の百貨店やショッピングセンターの様なたたずまいでした。

とりあえず、2人ともお腹がすいていたので、昼食をとるためにレストラン探しました。

ここにも、たくさんのレストランが入っています。どこに入るか悩みながら歩き回った結果、日本では見たことがないけど、日本からやってきた風の(?)、焼き石プレートにのった肉とご飯を自分の好みに焼きながら食べるスタイルのレストランに決めました。

これまでに無い当たりのお店でした。初日からこんな風に食べれてたらよかったのに。

昼食も終わり、ここにきた本来の目的である、お土産の調達のため、建物の中をウロついていると、インドネシアの工芸品を多数取り扱っているフロアーに行き当たりました。

ここで、お菓子やコーヒーと木製の工芸品を45分程かけて吟味して買い、2人ともが納得のいく買い物ができて一安心でした。

撮った一部の写真がこちらです。

用事が済んだので、そのままホテルへ帰りました。

時間に余裕を持って帰って来たはずなのに、結局ホテルに着いたのは、集合時間の15分前です。

個人的に、ヤキモキする時間が多くて、最近の私に付きまとう「時間」への課題が浮き彫りになった感じでした。(とは言え、遅れる事なく集合場所には到着できたし、良しとしましょう)

あとは、帰るだけです。

ホテルを後にし空港へ。

まとめ

空港へ向かうバスの中から外の景色を眺めながら、この5日間で何を感じたのかを振り返ってみました。

まず感じたのは、「活力」

現地人の生活感の勢いと人の多さからのものです。日本とはまた別のもので、貧困の中でも力強く生きているのが一番印象に残りました。

その一例ですが、ごく普通の人が路上に突然現れて交通整理を始めます。

早く先へ進みたいドライバーの手には、お金が。その手を窓から出しそれを見た交通整理をするお兄さんは、その車を優先的に通していき、次々と通り過ぎる車のドライバーからの手からお金を受け取るというシステムです。

この様な光景を何回か目にした時、お互いの利害関係がその場その場で成り立つ様を見て感心させられました。

やはり貧富の差は大きく、豪邸やタワーマンションが立ち並ぶ場所があれば、屋根が破けたような家や見た目がボロボロになった家が密集している地域も数多く点在していました。

しかし、そんな中に異彩を放ち建っているのが、宗教的建造物です。

おそらくその地域に住む人達の心のより所なのでしょう。貧富の差に関係無く信仰は人の心にある物なんだという現実を見る事も出来ました。

次男は、初めての海外という事もあり、また初めての国際大会への出場など、全ての事が初体験の5日間だったと思います。

慣れない場所での体調管理にも、一生懸命氣を付けていたのを感じていました。

レストランでドリンクを注文する際には、私が言う前に「No Ice!」と横から注文するくらいでした。「氷を食べてお腹を壊したくない!」「体調を崩す訳にはいかない!」と、彼なりに必死だったに違いありません。

結果、アジアチャンピオンのタイトルを手にした訳で、次男のとっても経験になったでしょうし、私にとってもいい思い出になりました。

そんな思いにふけりながら帰路につき、特に大きなトラブルもなく、無事に帰国する事が出来ました。

 

次男が「もし、次のアジア大会に行けたら、今度は1人で行くわ!」

と言い出し、それを聞いた私は、

「次は、三男か四男が行くかもしれへんから、そっちの付き添いで行くわ!」と返すと、

「そうやなぁ。そうなるかもやなぁ」と2人で笑ってこの遠征を締めくくりました。

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