毒親育ちのお子さんは、成長の過程で様々な困難に直面し、その影響は成人後も長く続くことがあります。ただし、全てのお子さんが同じような末路を辿るわけではなく、個人の性格、環境、受けたサポートなどによって大きく左右されることをご理解ください。
これから、毒親に育てられた子どもが辿る可能性のあるいくつかの末路を挙げ、それぞれについて詳しく解説します。
この記事は、当事者の方にとっては、かなり辛く苦しい内容の記事になります。おそらく最後まで読めない方も出てくるとお思います。ですが、逆にこの記事を最後まで読めたあなたは、変われる準備ができていると思って下さい。そして本当に変わりたいと思ったのなら、その場で迷わずご相談の連絡をして下さい。
1. 精神的な問題
抑うつ:
常に批判や否定的な言葉にさらされたり、感情を抑圧されたりすることで、慢性的な抑うつ状態に陥りやすくなります。自己肯定感の低さから、将来に希望を持てず、無力感を感じやすい傾向があります。
不安障害:
親の過干渉や不安定な言動によって、常に不安を感じるようになります。些細なことにも過剰に反応したり、将来に対する漠然とした不安を抱えたりすることがあります。パニック障害や社交不安障害などを併発する可能性もあります。
トラウマ(心的外傷):
虐待(身体的、精神的、性的)、ネグレクト(育児放棄)、精神的な支配などは、深い心の傷となり、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を引き起こす可能性があります。フラッシュバック、悪夢、過覚醒などの症状に苦しむことがあります。
自己肯定感の低さ:
親からの愛情不足、批判、否定的な評価によって、自分には価値がないと感じるようになります。自己肯定感が低いと、新しいことに挑戦する意欲が湧かず、人間関係においても自信を持つことができません。
境界性パーソナリティ障害:
親の不安定な愛情や矛盾した言動によって、感情のコントロールが難しくなり、対人関係においても不安定になりやすい傾向があります。見捨てられることへの強い恐れや、衝動的な行動が見られることがあります。
依存症:
孤独感や満たされない感情を紛らわせるために、アルコール、薬物、ギャンブル、買い物などに依存してしまうことがあります。
2. 対人関係の問題
親密な関係を築くことの困難さ:
親との間で健全な愛着形成ができなかった場合、他人との間に深い信頼関係を築くことが難しくなります。相手を信じることができず、常に警戒したり、過度に依存したりする傾向があります。
共依存:
親の世話を焼くことで自分の存在意義を感じてきた場合、大人になっても他者の問題を背負い込み、過剰に世話を焼く共依存の関係に陥りやすいです。
人間関係のトラブル:
自己主張が苦手であったり、感情のコントロールがうまくいかなかったりするために、人間関係で摩擦を生じやすいです。孤立感を抱えたり、対人関係を避けるようになったりすることもあります。
加害者になる可能性:
親からの虐待や支配的な態度を学習し、無意識のうちに他者に対して同じような言動をとってしまう可能性があります。
3. 社会生活の問題
仕事における困難:
自己肯定感の低さや不安感から、仕事で能力を発揮できなかったり、昇進をためらったりすることがあります。また、人間関係のトラブルから、職場に馴染めないこともあります。
経済的な困難:
精神的な問題や対人関係の問題が、仕事やキャリア形成に影響を与え、経済的に不安定な状況に陥ることがあります。
孤立:
周囲との関係を築くことが難しく、社会から孤立してしまうことがあります。特に、精神的な問題を抱えている場合、誰にも相談できずに孤立感を深めてしまうことがあります。
4. 健康問題
心身症:
ストレスが長期間にわたることで、頭痛、腹痛、不眠など、身体的な症状が現れることがあります。
生活習慣病:
慢性的なストレスは、免疫力の低下や生活習慣の乱れにつながり、生活習慣病のリスクを高める可能性があります。
重要なこと
毒親育ちのお子さんが必ずしも上記のような末路を辿るわけではありません。適切なサポートや治療を受けることで、過去の経験から回復し、自分らしい幸せな人生を送ることは十分に可能です。
- 心理療法(カウンセリング): 過去のトラウマや心の傷を癒し、自己理解を深めることで、精神的な安定を取り戻すことができます。
- 自助グループ: 同じような経験を持つ人たちと分かち合うことで、孤独感を軽減し、共感や励ましを得ることができます。
- 周囲のサポート: 理解ある友人、パートナー、家族などのサポートは、回復への大きな力となります。
もしあなたが毒親育ちで、生きづらさを感じているのであれば、一人で悩まずに専門家の助けを求めることを強くお勧めします。
以下に「毒親育ちの具体的なケース」と「回復のプロセス」をセットで解説します。
【ケース1】いつも他人の顔色をうかがってしまうAさん(30代・女性)
背景:
幼少期、母親は「お前のためを思って」と言いながら厳しいしつけを行い、感情表現を許されなかった。
褒められた記憶がなく、「人に迷惑をかけてはいけない」「わがままは絶対NG」という価値観で育った。
現在の問題:
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他人の期待に応えようとして疲れ果てる
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NOが言えず、利用されがち
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自分の感情がわからない、何がしたいのかわからない
回復のプロセス:
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認知の書き換え
→「自分が悪いから怒られる」「迷惑をかけると嫌われる」という思い込みを、「人は誰でも迷惑をかけ合って生きている」へと再構成していく。 -
感情の可視化
→日記や感情ワークで「今日どんな気持ちだったか」「何がきっかけだったか」を丁寧に書き出す。 -
「小さなNO」から練習
→ たとえば「今日は疲れてるから出かけられない」といった、罪悪感の少ないNOから実践。
この作業のやり始めはとても辛く苦しい時間を過ごす事になります。そしてまた、その辛い思いを受け入れながら、自分と向き合う勇氣と、そんな自分を認める勇氣が必要になます。この辛く苦しい時間を過ごす事ができたなら、必ず突破口は見えてきます。
ただ、この作業を1人でしようとするのは、かなりハードルが高いと言えるでしょう。できれば誰か信頼できる人や専門家についてチャレンジする事をおすすめします。
適当な人が見つからない場合は、当塾にご相談ください。
【ケース2】親との関係を断てず苦しむBさん(40代・男性)
背景:
父親は常に怒鳴り声を上げるタイプで、「お前はダメだ」と何度も言われた。
成人後も「親孝行しろ」「家に帰ってこい」と言われ続けている。親からの連絡を断つことに強い罪悪感がある。
現在の問題:
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自分の人生を歩めていない感覚
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親の言葉にいちいち反応してしまい、イライラする
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親と距離を置こうとすると、強烈な「罪悪感」や「無価値感」に襲われる
回復のプロセス:
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心理的な「分離作業」
→「親の価値観=自分の価値観」になっていた状態を見直し、「これは誰の価値観か?」と問い続け紙に書き出す。もしくはパソコンや携帯のメモに打ち込む。 -
“親の声”を内側から追い出す練習
→ 頭の中に響く「親のセリフ」を紙に書き出すか、パソコンや携帯のメモに打ち込み、「これは事実か?思い込みか?」と検証。 -
「罪悪感」と付き合う技術を学ぶ
→ 罪悪感を「乗り越える」のではなく、「共にあるもの」として扱う。
これらの作業は、最初の内はうまく行かないかもしれません。これまでの思考の癖がどうしても邪魔をしてくるので、紙に書き出したりパソコンや携帯のメモ機能を使って、可視化することがこのプロセスでは重要です。
頭の中で情報を処理しようとすると、色々な情報がどんどん上書きされてしまい、情報が整理できなくなります。その結果、普段の慣れた思考に引き戻されてしまいます。そうならないように、面倒臭いですが紙に書き出すか、メモ機能を使う様にしましょう。
何をどう書き出せばいいかわからない人もいると思います。その様な人は、当塾にご相談ください。
まとめ:毒親育ちの人生は「書き換えられる」
毒親育ちの人は、生きづらさに悩む一方で、
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繊細さ(感受性が高い)
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他者への共感力
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自分を変えたいという強い意志
といった“回復力の種”を持っています。
「こんな自分じゃダメだ」と思った瞬間が、人生の書き換えのスタートです。
心理学的なケアを地道に続ける事で確実に人生は変わっていきます。この記事を最後まで読めたあなたは、変われるだけの心の強さがあります。今ここで、勇氣を出してもう一歩足を踏み出してみませんか?
あなたからの勇氣ある決断と行動をお待ちしております。
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